塗り替えの疑問にお答えします。
下地調整(高圧洗浄を行う場合)~下塗り--------1日
下塗り~中塗り-----------------------------16時間程度
中塗り~上塗り-----------------------------16時間程度
上塗り~縁切り-----------------------------2~3時間程度
これは素地調整を行った後から塗装をするまでの時間間隔と塗装を行った後に次の工程に移るまでの塗料の乾燥時間を示したものです。(平均気温23℃以上)上記のことから、仮に下地処理の段階で高圧洗浄を行わず、ワイヤーブラシケレン等の代替工程を行ったとしても、気温23℃から30℃の環境において塗り重ねに必要な強度を得るには約35時間の乾燥時間が必要です。(夏はもう少し早くなります)施工面積や仮設足場設置の有無に関わらず、基本的に1日で適正な塗装工程を行うことは不可能です。ただし、最近は乾燥時間が早い、速乾型の塗料も出ていますので、物理的には一日施工は規模によりますが可能だと思います。乾燥が早いということは樹脂を半ば強制的に硬化させるので、時間をしっかり取って緻密で丈夫な塗装膜を形成するには無理があるとも言えます。確かに便利ですが何かを犠牲にしないとその効果は得られないのが現実のようです。
「外壁塗装によって外観が綺麗になるので、屋根も綺麗にしたい」という美観的な視点を重視するのであれば、屋根塗装を行った方が良いでしょう。
それは、外壁塗装の際に設置される仮設足場によって屋根塗装を行う際の作業環境が整い、屋根塗装のみを行う場合と比較すると、価格的にも安く施工することが可能だからです。
一方、美観的な視点は重視せず、機能を重視し、「屋根は雨漏りしなければ良い」程度のお考えであれば、次の外壁塗装の際(20年目程度が目安)に屋根材自体を葺き替えれば良いと考えられますので、塗り替えまでしなくても宜しいのではないかと思います。
あくまでも推測ですが、屋根屋さんの言っている「屋根の塗り替えは、屋根にはあまり良くない」との内容は的確な塗装工程を行わないことによる不具合などについて言っているのではないでしょうか。
例えば、屋根塗装の最終工程である「縁切り」を行わないことによる毛細管現象の発生により、雨漏りしてしまう例もあるからです。
塗装膜は、太陽光や風雨などから建物を守っています。
しかし塗装膜も時間の経過と共に少しずつ劣化していきます。劣化しますと、色が褪せてきたり、塗膜本来の保護効果も薄れてしまいます。塗装膜を失った建物の外壁や屋根などは今度は直接、太陽の紫外線や風雨の影響を受けることになりますので、建物本体のダメージも大きくなります。
家族が住む大事な家、出来ることなら長く快適に住みたいですよね。
そこで定期的な診断を行ってみてください。様々な症状が現れてきていることにお気づきになると思います。
塗装された壁面を手で触ってみてください。指や手のひらに白い粉状のものが付いていれば、チョーキング(白化現象)と呼ばれる症状です。塗装膜が経年劣化で既に保護効果が失われている状態です。また塗装膜が剥がれている場合も下地との付着性が失われている場合がありますので注意が必要です。
屋根はいかがでしょうか?瓦の場合は交換等で対応できますが、洋風瓦(コロニアル)や金属屋根などは色が変わっていたり、サビが発生していますと修繕が必要となります。屋根が壊れたりすると困りますよね。
その他にも木部の塗装の剥がれ、変色。外壁面のカビや藻の発生など、パッと見て気にはなるけど、なんとなく見て見ぬふりをしてしまいがちが部分があると思います。日光が当たらず湿度の高い部分で密かに成長を続けるカビや藻などはいずれ下地本体にも悪影響を及ぼしますので注意が必要です。
このように簡単に確認ができるところからもう一度ご自宅や建物を診断してみてください。まだまだ大丈夫と放置しておけばおく程、修繕費がかさみ建物の寿命にも影響します。早めの塗替えで経済的に長持ちさせることが、より長く快適に住むコツです。
塗り替えの時期は使用している材料によって異なります。また、お住まいの場所の気候など地域性によってその寿命は伸びたり、縮んだりします。
例えば、海岸付近と山間部では海岸では塩分を含んだ空気が多く、風により運ばれ屋根や外壁に付着します。塩分は塗膜寿命を縮めますので、仮に10年保つ材料を使用していたとしても、7~8年までしか保てない場合もあります。鉄部のような金属部はご存知のように塩分を付着させるとサビが簡単に発生しますのでこまめなメンテナンスが必要と言えます。
住宅に使用している主な材料の塗替え時期の目安は以下の通りです。ご参考ください。(使用している材料によって多少異なります。)
外壁リシン | 5年 | 洋瓦(コロニアル、カラーベスト) | 10年 |
外壁吹付タイル | 6年 | 金属部(手摺、鉄扉など) | 5年 |
外壁弾性吹付タイル | 8年 | 木部(柱、破風、窓枠など) | 3年 |
屋根カラートタン | 10年 |